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2017年社長年頭挨拶

2017-01-11

本年1月4日、当社の代表取締役社長 市川祐一郎が、役員・従業員向けに行った年頭挨拶を以下のとおり掲載いたします。

 当社の各リグおよび新リグ建造室は、本社が休みの間も休むことなく、忙しく業務を続けていただき、皆無事新年を迎えることができました。各現業所、関係会社の皆様には、そのご苦労に感謝申し上げます。

 本日、仕事始めにあたり、年頭のご挨拶を申し上げますと共に、市場の動向、当社のこれから一年の運営方針を確認したいと思います。

 まず、日本を取り巻く経済環境です。昨年前半は、海外経済の減速や円高の影響などから輸出が弱含み、設備投資に慎重で、一昨年からの踊り場局面が続きました。このため、安倍首相は、消費税率引き上げの時期を再延期しました。後半は、世界的なITサイクルの改善から、輸出や生産が持ち直しましたが、個人消費と設備投資は力強さに欠け、景気が回復してきたとはまだ言えない状況でした。世界に目を向けますと、アメリカの大統領選挙や、イギリスのEU離脱、いまだに脅威となっているIslamic Stateと頻発するテロ、パナマ文書によるタックスヘイブン取引の公開、フィリピンの新大統領就任など地政学的リスクの高まりなどがあり、特にアメリカ次期大統領就任後の動向については予想が難しく、世界に激震が走ることも考えられ、イラン情勢、ロシア情勢、中国情勢等を含め景気の先行きには不透明感があります。我々の業界に目を向けると、2月中旬にバレルあたり26ドル台まで下落した原油価格が15年ぶりに実現した石油輸出国機構(OPEC)および非OPECの協調減産合意により上昇傾向へ転じたことが重大ニュースとしてあげられます。

 このような情勢の中で、まず、掘削コントラクター市場の動向ですが、一昨年の12月20日と昨年12月20日を比較してみますと、総リグ数は、938基から914基へと24基減少しています。この間、41基のリグが市場から退出していますので、17基のリグが新たに市場に投入されたことになります。

 世界全体のリグ数914基のうち、490基が稼働していますので、世界全体の稼働率は53.6%であり、1年前と比べて12.1ポイント減少しており、最低の稼働率を更新しています。これは、まだ本格反騰していない原油価格の下で石油開発会社の投資が減退したままのため、掘削リグ需要も上昇に転じることができないという状況です。ただ、ごく最近のニュースでは、最もリグの稼働率の低かったメキシコ湾で稼働率が上昇する兆しが見られますので、我々の主戦場である東南アジア、中東においてもその傾向は近々出てくるものと考えています。

 勿論、今後のリグ市況は、原油価格の動向に大きく左右されます。OPECが昨年11月30日に開いた総会で、120万バレル/日の減産目標を設定し、12月10日には、ロシアを中心とする非OPEC産油国が55万8千バレル/日の協調減産に合意したことから、今年になり1月3日にはWTIでバレルあたり55ドルをつけるなど、原油価格が上昇傾向となってきていますが、その影響は、まだ石油開発市場、掘削コントラクター市場には及んでいません。協調減産は、これから実行される予定ですので、稼働率ならびにデイレートの上昇は、その実行具合に影響を受けると考えられます。今回はサウジアラビアの覚悟は相当なものであり、OPECとロシア他は監視委員会で減産を監視するとのことですので、減産は確実に遂行され、原油価格は、着実に上昇すると期待できるでしょう。

 さて、当社の本年度(平成28年度)の全体の業績と来年度の契約についてですが、まず、本年度前半は、「HAKURYU-5」、「HAKURYU-11」がベトナムで、「HAKURYU-10」がインドネシアで、「NAGA 1」がマレーシアで稼働し、「ちきゅう」が日本で第2回メタンハイドレート海洋産出試験の事前掘削を実施しましたが、中東の「SAGADRIL-1」、「SAGADRIL-2」および「HAKURYU-12」は稼働の機会がなく、後半は残念ながら「ちきゅう」の科学掘削、「SAGADRIL-1」のBunduq社作業を除き契約が獲得出来ない見通しとなっており、全体として、大幅にリグの稼働率が低下しました。これらの結果、本年度は、約105億円の純損失を余儀なくされる見込みです。ただ、前述のように昨年のOPECの減産合意と非OPEC産油国の協調減産で原油価格は50ドルを超えたところで安定しており、これからOPECおよび非OPECの減産が確実に実施されれば、原油価格は更に上昇し、来年度は直ちにとは行かないまでも、必ずや市場環境は好転すると考えています。このような流れの中、「ちきゅう」は商業掘削案件を、「HAKURYU-10」は東南アジアの案件を、「HAKURYU-5」は極東の案件を、そして「SAGADRIL-1」は引き続き中東の案件を、現在、具体的に追求中です。また、この他にも、「SAGADRIL-2」、「HAKURYU-11」、「HAKURYU-12」及び「NAGA 1」の営業活動にも引き続き注力していきます。

 次に当社の本年の重要課題ですが、最も重要なのは、「掘削契約の受注・確保」と「安全操業」です。現状の困難な状況を打破して行くには、とにかく掘削契約を獲得し、リグを事故無く安全に稼働し、安定した収入を得ることが必須です。工事案件が減少し、デイレートも低下している中での受注は困難を極めていますが、本社・各現業所が一丸となって営業活動を展開して行く必要があります。また、安全面では、一昨年同様、昨年の操業でも残念ながら1件のLTI(注)が発生しました。苦境の中での事故は、会社の屋台骨を揺るがしかねないという危機意識を強く持ち、作業手順・マニュアルの遵守を徹底し、保安教育・研修プログラムをしっかり浸透させて、「安全操業」を徹底していただきたいと思います。

(注)Lost Time Incidentの略で、業務に関係した傷害により、被災者が事故の翌日から勤務できない状態をいいます。

 さらに、この苦境を乗り切っていくためには、「財務基盤をより安定」させていく事も求められるため、その具体的な検討も重要な課題となります。

 この他「次世代人材の育成」、「不況下での経費の節減」、「リグフリートの継続強化」、「新規応用分野の開拓」が引き続いて取り組んでいくべき重要課題です。

 最後に、新しい事業展開についてです。掘削コントラクター業界の状況は、昨年に引き続き本年前半は芳しくはなく、上向きになるのは本年後半と見込まれます。従って、当面は財務基盤の安定を図るためにも、新たな投資は控えていかざるを得ませんが、長期的視点から必要と考えられる案件については、詳細かつ慎重に吟味の上、決定していくこととします。この考えに基づき、従来からの成長戦略である新リグの取得による「リグフリートの増強」については、平成26年の秋にリースによる調達を決定したプレミアムクラスの新ジャッキアップ「HAKURYU-14」および「HAKURYU-15」2基の納期をそれぞれ1年と2年遅らせて支出を抑え、市況の改善をもう少し待つこととしました。また、産油国の国営石油会社と将来、事業を展開するために取り組んでいる幾つかのプロジェクトも推進中です。当社としては、この苦境をチャンスに結びつけるべく、ビジネスの芽に注意深く気を配っていき、将来への布石は怠らないようにしていく事が肝要です。

 本年は、夜明け前の一番暗い時です。しかし、明けない夜はありません。夜明けは直ぐそこまで来ています。まだまだ多くの困難が待ち受けているでしょうが、もう少しの辛抱です。全社一致協力し、いつでも「夢」と「希望」と「誇り」を持ってこの難局を乗り切っていきましょう。

 さて、本日の年頭挨拶を締めくくるにあたり、会社の基盤として、常に最高のプライオリティは前述したとおり、「掘削契約の受注・確保」と「安全操業」であることを繰り返させて頂きます。各事業所、関係会社および現場を支える本社の皆様に、掘削契約を確保し、引き続き安全な作業を続けるために万全を期されるようお願いする次第です。

 本年は丁酉(ひのととり)の年、丁は、一人前として認められた状態を指し、酉は、果実が十分に熟した状態を指すといわれており、両者を合わせると終わりと始まりの年と捉えることができるそうです。我々にとっては、原油価格の低迷による業界の不況が終わりとなり、新たな力強い景気が始まることを期待しています。

 最後になりましたが、安全と健康にはくれぐれも留意され、ご家族ともに幸せな年になりますようにお祈りいたします。

以 上