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2016年社長年頭挨拶

2016-01-07

本年1月4日、当社の代表取締役社長 市川祐一郎が、役員・従業員向けに行った年頭挨拶を以下のとおり掲載いたします。

 当社の各リグおよび「HAKURYU-14、-15」の新リグ建造室は、本社が休みの間も休むことなく、忙しく業務を続けていただき、皆無事新年を迎えることができました。各現業所、合弁会社の皆様には、そのご苦労に感謝申し上げます。

 本日、仕事始めにあたり、年頭のご挨拶を申し上げますと共に、世界の掘削コントラクター市場の動向、成長戦略を進めている当社のこれから一年の運営方針を、皆様と共に確認したいと思います。

 日本を取り巻く経済環境は、2012年に開始されたアベノミクスの「3本の矢」により、「金融政策」「財政政策」は順調に推移したように見受けられましたが、「成長戦略」に関しては、順調とは言えない状況でした。世界的には、極端な原油安、中国の景気減退いわゆるチャイナショック、新興国の景気減速、Islamic State、ウクライナ問題、南シナ海問題など地政学的リスクの高まりなどがあり、経済環境は厳しい状況に向かっており、景気の先行きには不透明感があります。

 このような経済情勢の中で、まず、掘削コントラクター市場の動向ですが、専門調査会社による一昨年の12月20日と昨年12月20日のマーケットデータを比較してみますと、総リグ数は、960基から938基へと22基減少しています。この間、41基のリグが市場から退出していますので、19基のリグが新たに市場に投入されたことになります。

 世界全体のリグ数938基のうち、616基が稼働していますので、世界全体の稼働率は65.7%となっており、1年前と比べて14.5ポイント減少しており、近年での最低の稼働率となっています。これは、皆さんもご存じのとおり、現在の油価下落・低迷の状況下で石油開発会社の投資が減退しており、掘削リグ需要が大幅に減退しているという厳しい状況を意味します。

 今後のリグ市況は、従来と同様に原油価格の動向に大きく左右されるのは言うまでもありません。中国、インド等の新興国での経済成長率鈍化ならびに米国陸上でのシェールガス・シェールオイルの開発進行や、石油輸出国機構(OPEC)が昨年12月4日に開いた総会で、生産目標の設定を事実上棚上げしたことに加え、イランの核協議が最終合意に進展し、早期制裁解除の可能性が高まったこと、イラクの石油相がこの決定を支持する姿勢を見せたこと、さらには、米議会上下両院が先週末、原油輸出を40年ぶりに解禁する法案を可決したため、供給余剰が拡大するとの懸念も台頭したことで、この傾向に一層の拍車がかかり、原油価格が大幅に下落しています。その影響が石油開発市場、掘削コントラクター市場にも及んでおり、先ほど述べました稼働率の低下、特にデイレートが高額なドリルシップの稼働率の低下、ならびにデイレートの低下を招いています。このため、建造中あるいは建造発注済のリグ数も減少しており、リグの納期を先送りするとか、船齢の高いリグを早めにスクラップにするとか、従業員の大量解雇を数多くのコントラクターが実施しています。さらに、上場廃止となったり、倒産したりするコントラクターも現れています。掘削コントラクター市場は、長期的には右肩上がりの成長市場ですが、短期的には高低の激しい市場であるため、この状況は、原油価格の持ち直しにより好転していくとは言っても、その好転にはやや時間が掛かるかもしれません。ここ数年は、当社も辛抱が必要と考えています。

 さて、当社の本年度(平成27年度)の全体の業績についてです。年度前半は、当社運用リグすべてが稼働したため、前年同期に比べ大幅な黒字を達成したものの、年度後半は、前述の油価下落の影響をまともに受け「HAKURYU-10」を除き、すべてスタンバイの状態となっています。「HAKURYU-5」が2月より、「HAKURYU-11」が3月よりいずれもベトナムにて、また「NAGA 1」は3月よりマレーシアにて稼働を開始する予定ですが、「SAGADRIL-1、2」「HAKURYU-12」の中東での契約獲得は、未だはっきりしておらず、「ちきゅう」の商業掘削は来年度からであり、無収入期間が非常に長期となるため、昨年度に比べ、さらに売上が減少し、通期では大幅な赤字を余儀なくされる見込みです。来年度も、市場環境はすぐには好転するとはいえないと見ており、経費等の支出に関してはかなり引き締めていく必要があります。

 次に、本年の当社の新たな事業展開についてです。成長戦略の第一である新リグの取得による「リグフリートの増強」については、昨年リースによる調達を決定したプレミアムクラスの新ジャッキアップ「HAKURYU-14」および「HAKURYU-15」(いずれも仮称)2基の建造が最終局面を迎えます。さらに、鉱区解放したメキシコ向けと現地事務所を開設したサウジアラビア向けの新規ジャッキアップを検討中です。また、ジャッキアップばかりでなく、大水深フローター建造の実現に向けて次のステップへ移行します。まず、Etescoが現在建造中の小型大水深セミサブを使用してのPetrobras向け大水深ワークオーバープロジェクトへの参画を検討しています。また、メキシコ、インド、エジプトの大水深向けセミサブの設計検討も引き続き実施します。当社としては、成長戦略の根幹である「リグフリートの増強」に係わる案件を着実に実行していくとともに、これらを支える人材の確保・育成および社内体制の整備・充実を更に図ることが重要な課題になるものと考えています。このように、本年は、我慢が強いられるものの「発展への布石」を強固なものとし、「さらなる高み」へ雄飛していくための雌伏のステージになるものと思います。

 当社の本年の重要課題は、
 第一に「工事契約の受注・確保」と「安全操業」です。この二つの課題は対となって重要な課題であり、どちらがより重要というものではありません。工事契約があっての安全操業、安全操業あっての工事受注です。対象リグが多く、原油価格下落の影響で案件は減少し、デイレートも低下している中での受注は困難を極めることと思いますが、必死の思いで営業活動を展開していかねばなりません。また、安全面では、昨年の操業では残念ながら1件のLTI(注)が発生しました。このような状況に対する危機意識を強く持つとともに、「安全」こそが当社事業の根幹であることを再認識し、本社・各現業所が一丸となり、作業手順・マニュアルの遵守を徹底し、保安教育・研修プログラムをしっかり浸透させて、「安全操業」に注力していただきたいと思います。

(注)Lost Time Incidentの略で、業務に関係した傷害により、被災者が事故の翌日から勤務できない状態をいいます。

 第二は、リグフリートの増強に追随できる「人材育成」です。現在のようなビジネス環境の時こそ重要性の増す課題です。熟練現場要員の不足解消のための人材育成、特にメンテナンス要員の育成、次世代管理職ならびにマネージメント候補者の育成が急がれており、昨年検討した方策・対策を実行に移していく事になります。

 第三は、デイレートが落ち込んでいく中での、「経費の節約」です。不要不急の費用を削減するのはもちろんのこと、何とか知恵を絞り、工夫を凝らして、節約の努力をお願いします。

 第四は、「新規応用分野の開拓」です。掘削技術事業部のメタンハイドレートの開発、海洋放射性廃棄物処理等応用エンジニアリングプロジェクトの開発、海洋鉱物資源の開発、水平孔掘削事業部の事業拡大・独立採算が対象となります。当社の収益源の第二、第三の柱として育てていく必要があります。

 第五は、前述の「リグフリートの強化」です。何とか現在可能性の高いプロジェクト候補をもとに具体的に一歩進めていく所存です。

 以上より、今年は、周辺環境が悪化している中、多くの困難を伴うことは想像に難くありませんが、当社が新たな発展に向けてのステップを踏んでいく期間と捉えていただきたいと思います。

 さて、本日の年頭挨拶を締めくくるにあたり、会社の基盤として、常に最高の必須事項は前述したとおり、「安全操業」と「契約の確保」であることを繰り返させて頂きます。各事業所、合弁会社および現場を支える本社の皆様に、工事契約を確保し、引き続き安全な作業を続けるために万全を期されるようお願いする次第です。

 私は、当社を今よりさらに『いつでも「夢」と「希望」と「誇り」が持てる会社』にしたいと思っています。このためにも、皆さんもそれぞれの課題に向かって挑戦されるよう、一層の尽力、奮闘をお願いします。皆で一緒に同じ方向を向きながら、『いつでも「夢」と「希望」と「誇り」が持てる会社』のために努力していきましょう。そして、より一層魅力のある企業に成長させましょう。

 今年は申(さる)年、申年は、意志が強く個性的で、頭が賢くなんでも器用にこなすけれども、持久力をつけて努力する姿勢がないと中途半端で終わることになり、運も逃すことになる。また、金運があるといわれている他、明るく人懐っこいので人気者になりやすく、どんな場面でも臆することなく挑戦するので適応能力は高い、ということのようです。何とか我慢してこの油価低迷の環境に耐え、明るく前向きな態度でもって金運をつかむべく、掘削工事契約を確保していきたいものです。

 最後になりましたが、安全と健康にはくれぐれも留意され、ご家族ともに幸せな年になりますようにお祈りいたします。

以 上