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2014年 社長年頭挨拶

2014-01-09

本年1月6日、当社の代表取締役社長 市川祐一郎が、役員・従業員向けに行った年頭挨拶を以下のとおり掲載いたします。

皆さん、新年あけましておめでとうございます。

当社の各リグは、本社が休みの間も休むことなく、忙しく操業を続けていただき、皆無事新年を迎えることができました。各現業所、合弁会社の皆様には、そのご苦労に感謝申し上げます。

今年、当社は、東証1部上場後、4年が経過し、5回目の正月を迎えました。本日、仕事始めにあたり、年頭のご挨拶を申し上げますと共に、世界の海洋掘削コントラクター市場の動向、日本の新海洋基本計画に基づく海洋開発への取り組みの方向を紹介するとともに、成長戦略を進めている当社のこれから一年の運営方針を、皆様と共に改めて確認致したいと存じます。

まず、海洋掘削コントラクター市場の動向ですが、一昨年の11月末と昨年11月末を比較してみますと、総リグ数は、866基から911基へと45基増加しています。この間、13基のリグが市場から退出していますので、58基のリグが新たに市場に投入されたことになります。

リグの機種別では、全体の半分強に相当する508基がジャッキアップ型で、約1/4に相当する218基がセミサブ型となっています。世界全体のリグ数911基のうち、773基が稼働していますので、世界全体の稼働率は84.9%となっており、1年前と比べて1.5ポイント増加しています。これは、需要増加のペースが供給増加のペースを上回っているという状況を意味します。次いで、リグのタイプ別に稼働状況を見てみますと、ドリルシップの稼働率は約95%、セミサブ型の稼働率は約90%、ジャッキアップ型は約85%となり、いずれも上昇傾向で推移しています。

さらに、海域別にリグ市況を見ますと、リグ数では1位が中東、2位が南米、3位が東南アジア、4位が米国メキシコ湾の順番となっており、この四海域で500基以上となり、全体の半分以上のリグ数を占めています。1年前と比べた増加数では、西アフリカが13基、中東が13基、東南アジアが10基、メキシコが9基という順番ですが、西アフリカではフローター、中東とメキシコではジャッキアップ型を中心とした需要増加が顕著となっております。米国メキシコ湾では、Macondoの事故の影響で2010年中ごろには50%台まで稼働率が低下しましたが、現在は70%前後にまで回復してきています。東南アジアは、稼働率は、世界全体より低い水準の80%強で推移しておりますが、稼働率が低いのは、稼働していないリグのスタンバイ場所になっていることが一因です。北海を含む北西ヨーロッパ、東アフリカを含むインド洋では、それぞれ98%程度の高水準を保っています。次に、建造中あるいは建造発注済のリグ数ですが、大幅な需要増加を反映してジャッキアップ型およびドリルシップは大きく増加しています。ジャッキアップ型は、ノルウェー沖・北海などの気象海象の厳しい海域を対象としたHarsh Environment仕様を除くと、大手コントラクターは発注を控えており、新興の会社や、メキシコの会社によるシンガポール・中国の造船所への発注が顕著となっています。ドリルシップは大水深掘削の活発化を背景に、大手コントラクターを中心に、韓国の造船所での発注が続いています。セミサブ型の発注件数は大きく増加してはいませんが、今後は気象海象の厳しい海域を対象としたHarsh Environment仕様のセミサブ型や、既存リグの多くに経年による劣化が目立つ中水深型セミサブを中心に発注の増加が見込まれています。この結果、建造中の全リグ数は、この1年間で49基増加して248基となり、過去最高水準を記録しています。

今後のリグ市況の見通しといたしましては、米国陸上でのシェールガス・オイルの開発進行や有力な産油国が集まる中東・北アフリカにおける不安定な政情といった懸念材料はあるものの、原油価格が余程急激に落ち込まない限り、NOC(国営石油会社)およびIOC(国際的民間上流企業)による探鉱開発活動への投資意欲は、当分の間、衰えることはないものと推測しています。しかしながら、造船所から新規にデリバリーされるリグが早いペースで継続的に市場に投入されているため、経年化の進んだリグについて、その陳腐化、競争力の低下が加速する一方で、供給過多の傾向が強まり、これまで上昇を続けてきたリグレートが今後はフラット化していくものと推測されます。ジャッキアップ型リグに関しては、プレミアムリグと旧式化したコンベンショナルなリグとの間でリグレートが二極化する傾向はさらに顕著となるものと想定しております。そのような市場の動きの中で、旧式化したジャッキアップ型リグは、廃棄処分とするか、ワークオーバーに特化するか、海上宿泊施設といった他用途へ転用するか、他社に売却するか、いずれかの選択を迫られるものと見込まれています。また、今後、ジャッキアップ型だけでなくセミサブ型も、新旧フリートの刷新が進むものと推測されます。昨年実施したコンサルタントの調査では、油価が100ドル前後で推移すると仮定して、今後10年の見通しとして、廃船を考慮すると、ジャッキアップ型は200基程度、セミサブ型・ドリルシップ等フローターも同様に200基程度の追加の需要が見込まれており、現在建造中のリグに加え、ジャッキアップ型リグは、さらに60基程度、フローターは、100基程度新たに建造されなければ需要に追いつけないと予想されています。このように、少なくとも今後10年程度は、海洋掘削コントラクター市場は、右肩上がりの成長市場であるといえます。この市場動向を勘案しつつ、スクラップアンドビルド、すなわち新旧リグの交代を念頭に置き、当社の今後のフリート増強を考えるつもりです。

次に、日本の新海洋基本計画についてですが、平成19年に制定された海洋基本法に基づいて平成20年に策定された5ヵ年の海洋基本計画を見直し、昨年4月に新たな5ヵ年を対象とした海洋基本計画が策定されました。この中で重点的に推進すべき取り組みとして、「海洋産業の振興と創出」、「海洋の安全の確保」、「海洋調査の推進、海洋情報の一元化と公開」、「人材の育成と技術力の強化」、「海域の総合的管理と計画策定」が策定されました。さらに12の基本的施策が策定され、その一番目の施策として「海洋資源の開発及び利用の推進」が掲げられました。具体的には、「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」を策定し、同計画の下で排他的経済水域等に賦存する石油・天然ガス、メタンハイドレート、海底熱水鉱床の探査・開発を着実に推進し、メタンハイドレート及び海底熱水鉱床について、今後10年程度を目途に商業化を目指すというものです。当社も、内閣府の海洋開発を推進する組織である「総合海洋政策本部」の参与会議で進められるプロジェクトチームに海洋産業の草分けとして積極的に参画し、海洋政策の議論に加わっており、わが国造船所による掘削リグ建造や人材育成に関する提案をしているところです。

さて、当社の今期(平成25年度)の業績についてお話いたします。本年度は、「HAKURYU-5」のドック(造船所)工事が来期にずれ込んだことにより、当社保有リグにドック工事や移動に費やされた無収入期間がほとんどなく、さらには「HAKURYU-11」が稼動を開始したこと、円安が進んできたこと、「ちきゅう」の商業掘削が予想より長引いたこと等により当初予想に比べ、本年度の最終着地は売り上げ増ならびに相当程度の黒字で締めくくれるものと想定しています。お陰で皆さんへの賞与も増やすことが出来ました。

次に、本年の当社の新たな事業展開についてです。三つの成長戦略の第一である新リグの取得による「リグフリートの増強」につきましては、プレミアムクラスの新ジャッキアップ、仮称「HAKURYU-12」の建造がシンガポールのPPL造船所で進んでいます。完成は本年末あるいは来年1月を予定しており、来年第1四半期からの稼働開始を目標に鋭意営業活動を進めております。また、ジャッキアップリグばかりでなく、世界各地のセミサブの長期需要を考慮し、メタンハイドレートの開発も視野に入れながら、大水深セミサブの建造に向けて、有利な資金調達の方法を含め、今後本格的にその検討を行ってまいります。特に、本年は、今後10年間を視野に入れたリグフリート増強の長期ビジョンを示したいと考えています。次に、成長戦略の第二である「大水深・新規マーケットへの積極的参入」につきましては、「ちきゅう」は、日本での下北沖、インドネシア、インド等での商業掘削契約獲得に向けて営業活動を進めており、その可能性はかなり高いものと考えています。また、JAMSTEC殿が検討を進めておられるマントル掘削の実現へ向けての研究も今年から関係各社と加速させることになっています。さらに、ブラジルの海洋掘削コントラクターであるETESCO社とワークオーバーリグに関する検討していく予定です。その他、最初お話しましたが、国の海洋基本計画に基づく取り組みの中で、複数の掘削リグの建造の提案をしており、この実現に向けての検討も進めています。第三の成長戦略、「メタンハイドレート開発等応用分野の拡大」ですが、昨年、海洋産出試験の観測井とテスト井の掘削工事および産出試験を世界で初めて成功させ、次の中長期にわたる第2次産出試験の準備に取り掛かることになっているほか、そのための掘削リグの検討も必要となっています。

なお、現フリートについての話を追加しますが、「HAKURYU-5」は、船級検査にあわせて4月から大規模アップグレード・延命工事を行うことにしています。「SAGADRIL-1」および「SAGADRIL-2」は、それぞれ今年船齢30年と33年になります。両リグ共に長期間にわたって稼動を続け確実な業績を挙げてきましたが、イランPOGC社との長期契約は残期間がそれぞれ1ヶ月と4ヶ月であり、イラン情勢に劇的な変化がない限りは、イランでの操業を終えることになります。その後、今後のマーケットの展開状況の中で、必要最小限の改造・メンテナンスなどの工事を行うことも想定しています。

当社の直近のリグ事業に関しての重要課題は、次のとおりです。

・造船所工事に関しては「HAKURYU-5」のドライドック定期検査時に、メンテナンス、アップグレード工事のために約5ケ月のスタンバイが、また、「SAGADRIL-1」は、イラン制裁の影響で部品の納品が遅れることとピニオンギア損傷の修理があり、相当期間のスタンバイが必要となる可能性があります。また、「SAGADRIL-2」については、前述のごとく工事内容を検討中ですが、具体的には今後のイラン情勢、作業、営業の展開を見て決めることとなります。「ちきゅう」も1ヶ月強のメンテナンス工事を現在の南海トラフ掘削工事終了後に予定しています。これらの工事の安全確実な遂行が、コストセーブの観点からも大切な点です。

・イラン情勢は、最近になってイランと欧米との歩み寄りが見られることから、良い方向へと進む可能性も期待できますが、当面は今の状況が続くと考えられることから、今までどおり顧客との契約に則って然るべく対応を継続していくことにしています。

・GDI社の事業については、昨年末にパートナーであるGIS社より、当社が保有しているGDI社の全株を譲渡してもらいたいとの申し入れを受けたので、今後この交渉を行う必要があります。本件は、当社の今後の事業展開や人員配置などにも関連することから、慎重に対応していくことにしています。

・「HAKURYU-5」と「SAGADRIL-1」ならびに「SAGADRIL-2」の造船所工事が来期に重なっていることから、この穴を埋めるためには、「ちきゅう」の来期の商業掘削契約の獲得が非常に重要になるため、万難を排してその契約獲得に邁進していかねばなりません。

・「HAKURYU-10」は、現在の顧客から勝ち得ている非常に高い評価を継続すべく、メンテナンスに注力するとともに更なる作業の質の向上を目指す事が肝要です。

・「HAKURYU-11」は、現在天候待機中ですが、何とか安全かつ遅延損害金を支払うことがないタイミングで次のロケーションに移動し、事前準備を万端に整え、インドネシア操業をスムーズに開始できるよう願っています。

・仮称「HAKURYU-12」は、無事建造契約どおりに建造を終えるとともに、早期に長期の掘削契約獲得を目指したいと思います。

・「NAGA 1」は、現契約がしばらく継続していくので、操業継続のため、確実な操業とメンテナンスが重要です。

・来期(2015年3月期)の売上予測は、「HAKURYU-5」のアップグレード工事後の契約、「ちきゅう」の商業掘削契約、仮称「HAKURYU-12」建造後の契約受注を確実なものとし、その時点で各リグの操業計画を策定し、これに基づき算出して公表したいと思います。

掘削技術事業部および水平孔掘削事業部について述べますと、

・掘削技術事業部は、昨年世間の注目を浴びる中で成功裏に終了したメタンハイドレートの海洋産出試験の実績を下敷きに「メタンハイドレート開発研究」を更に発展させ、是非とも次の研究フェーズの成功を目指して力を注いでいただきたい。「教育研修請負事業」も継続・拡大を図っていく必要があります。「レーザー掘削システム開発研究」は、今後の取り組み方を再検討する時期に来ていると考えられます。また、新しい取り組むべきプロジェクトとしてJAMSTEC殿の「マントル掘削」研究・検討があり、「エンジニアリング業務」のより積極的な展開と拡張により売上増につなげていただきたい。

・水平孔掘削事業部は、追求中の工事受注を確保・完工し、さらに将来に向けて販路を拡張することを期待しています。とにかくビジネスの基盤を確立し、独り立ちできる段階まで持っていくことが重要だと認識しています。

関連会社では、GDI社は今後の取り組みの抜本的見直し、UJD社は安定、MQJ社およびJOSCO社は共に順調と予測しています。

また、継続的な課題は、将来に向けて最重要な経営資源、即ち人員の拡充と教育・訓練です。マンパワー年齢の二極化と現在および将来に向けた人材、資格・能力の確保は広く我々業界の同業他社に共通の問題です。人材育成推進室を中心に、作業部、総務部、環境安全室が一致協力してこの課題に取り組まねばなりません。今後とも、組織的、重点的に、また確実に成果を上げるよう、この問題に対処していきます。

以上より、4月からの新年度は、無収入工事期間が長期にあり、またリグの経年化により、業績的には厳しくなることは想像に難くありませんが、次のフェーズのJDCを創生していくための期間と捉えていただきたいと思います。

さて、本日の年頭挨拶を締めくくるに当たり、今年もまた、会社運営の基盤となる最高位の必須事項は安全操業であることを繰り返させて頂きます。各事業所、合弁会社および現場を支える本社の皆様に、引き続き安全な作業を続けるために万全を期されるようお願いする次第です。

私は、JDCを『いつでも「夢」と「希望」と「誇り」が持てる会社』にしたいと思っています。このためにも、皆さんもそれぞれの課題に向かって果敢に挑戦されるよう、一層の尽力、奮闘をお願いします。皆で一緒に同じ方向を向きながら、その実現のために努力していきましょう。そして、魅力のある企業に成長させましょう。

今年は午年、私の干支でもありますが、駿馬よろしく飛躍の年、特に長期的な飛躍に向けてのステップとなる年にしていきたいと思います。

最後になりましたが、安全と健康にはくれぐれも留意され、ご家族ともに幸せな年になりますようにお祈りいたします。

以 上